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【コラム】世界旅情記『エジプト(北アフリカ)ルクソール』

ピラミッドやスフィンクスといった別世界に魅了され、遥か彼方のエジプトに憧れを抱いた人は私だけではないはずです。古代遺跡が多く残る「ルクソール」を訪れると、幾千年も変わらない母なるナイル川が光っていました。

ピラミッドがたたずむ、カイロ

 「過酷な暑さと砂漠が待つエジプトを訪れるなら、一年で最も寒い冬がおすすめだよ」と教えられた時、それだけでエジプトは今まで旅してきたヨーロッパやアメリカとはまったく異なる場所なんだと思いました。冬のエジプトは日中が20~25℃ほどで、日本から訪れると暖かく、外を出歩くのに快適な季節です。

▲エジプトらしい風景が目の前に

▲ラクダとピラミッド群

 夜に到着したカイロは、車のクラクションがけたたましく鳴り響き、車窓からでも賑やかな様子が伝わってきました。そして、ふいに現れたのが視界に収まりきらない巨大なピラミッドです。街並みにとけ込む様子は、日本でいう東京タワーや富士山のよう。古代文明と近代都市の垣根がなく、日常の風景にピラミッドがしっくりと馴染んでいました。

▲夜空に悠然と現れたピラミッド

ファラオが栄華を極めたルクソール

 旅はカイロから南のアスワンへ飛び、そこからナイル川を下りながら、エジプト文明の最高傑作が集まるといわれるルクソールへ。ツタンカーメンをはじめ、歴代のファラオが眠る王家の谷、切り立った断崖絶壁に築かれたハトシェプスト女王葬祭殿、巨大な石柱に美しい象形文字が並ぶルクソール神殿など、目の前に広がる壮麗な遺跡群が、今から3000年以上前に建てられたという事実に、思わず目と耳を疑ってしまいます。

▲ハトシェプスト女王葬祭殿

▲神の姿をしたハトシェプスト女王

▲巨大な円柱が並ぶルクソール神殿

 ルクソールはナイル川沿いに築かれた街です。南北を流れるナイル川は交通・物流を容易にし、定期的な氾濫によって肥沃な大地をもたらしてきました。実際に船上からは青々と生い茂るナツメヤシをよく目にし、古代ギリシャの歴史家ヘロドトスが残した「エジプトはナイルの賜物」という言葉がしっくりきます。川沿いの緑と背後の荒涼とした岩山のコントラストは、水による恩恵を如実に物語り、それは気球から眺める上空からの光景でも同じでした。

▲緑の大地と岩山の境界がくっきり

 エジプトの人々も水の近くが心地よいのか、夕方になると川沿いに集まり始めます。子供たちが無邪気に遊び回る中、空は徐々に茜色に。伝統的な帆船のファルッカが夕日を浴びながら、ゆっくりと川を往来していきます。この光景もまた、太古の昔から変わらないもの。ナイル川の静かで穏やかな流れを眺めていたら、壮大な歴史の一端に少しだけふれられたような気分になりました。

▲美しい夕焼けに彩られたナイル川

PROFILE

浅井みら野(あさいみらの)

アメリカの大学で国際関係とジャーナリズムを学び、卒業後は日本の旅行会社で法人営業を担当。その後、旅行関連のカメライターとして、日本全国、世界各国を訪れ、まだ知られていない土地の魅力をご紹介。

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