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【コラム】世界旅情記『日本(新潟県)燕三条』

今年もいよいよ「燕三条 工場の祭典」が始まります。ものづくりの町として知られる燕三条では、毎年10月の4日間のみ地域の工場や施設が開放されます。職人の技術を間近で見学でき、ものづくりの裏側を知れる絶好の機会です。

江戸から受け継がれる職人技

 歴史を辿れば江戸時代にまでさかのぼる、燕三条のものづくり。副業として始まった和釘づくりは遠く江戸の町を支え、そこで培われた技術でキセルや包丁など日常の道具へと発展し、さらに西洋文化が到来するやいなや洋食器にも着手。時代の変化に職人たちが柔軟に対応してきた結果、隣り合う燕市と三条市には1,300を超える作業場があるといわれています。

▲機械音がリズムよく響く工場

▲渋さが際立つ、漆黒の作業場

 普段なら職人たちが黙々と己の仕事に向き合う世界。しかし、イベント期間中はその世界を少しだけ覗き見ることができます。見学を受け入れている工場では、見慣れない機械を前に使い方を実演してくれることも。どの道具も使い込まれていて、丁寧な仕事ぶりが伝わります。さらに普段の作業風景にも立ち会うことができ、少しの誤差も許されない緊張感が漂う中、真剣な眼差しで向き合う横顔に自然と引き込まれたり、飛んでくる火の粉も恐れず挑む姿勢に惚れ惚れしたりと、固唾を飲んで見守る場面に何度も出会えます。

▲黙々と自分たちの仕事に集中

▲間近で職人の技を体験

ものづくりの裏側に密着

 現場との距離が近いのも、このイベントの魅力です。見慣れない道具や複雑な工程など、興味が湧いたらすぐに聞くことができ、そこから会話が発展することも。祭典という名にふさわしく、工場の方々もこの非日常を楽しんでいる様子です。ほど良いアットホーム感が心地よく、このイベントが「こうじょう」ではなく、あえて「こうば」と呼ばれている理由が分かります。

▲同じに見えて絶妙に異なる道具

▲歴史を感じさせる金づち

 燕三条から世に送られる品々は、プロが愛用する機器から使い心地を極めた日用品、さらに主役を支える付属品など多種多様。工場では金属から木工まで、あらゆる物が作られていきます。普段、何気なく暮らしていると完成品だけが目に映りますが、ひとつの物が出来上がるまでにいくつもの工程があること、その数と同じ量の部品が求められ、同様に作る人、組み立てる人の手も必要です。ものを通して、人の存在を知る。たくさんの寡黙なヒーローによって生活が守られていることを改めて実感できる時間でした。毎年パワーアップしているイベントで、その周辺地域の企業も続々と参加しています。ぜひ世界に誇る日本のものづくりの世界を訪ねてみてください。

▲出番を待つ、材料たち

▲昔のタンスを修理する工場も

▲工場オリジナルの商品も

PROFILE

浅井みら野(あさいみらの)

アメリカの大学で国際関係とジャーナリズムを学び、卒業後は日本の旅行会社で法人営業を担当。その後、旅行関連のカメライターとして、日本全国、世界各国を訪れ、まだ知られていない土地の魅力をご紹介。

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