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【コラム】世界旅情記『アメリカ(イリノイ州)スプリングフィールド』

大いなる野望を抱き、西の新天地へ。ちょうど今から100年前、アメリカンドリームを象徴するルート66が開通しました。東の出発地シカゴから車で約3時間の「スプリングフィールド」は、リンカーンとボブさんの思い出の地です。

英雄が生まれ、眠る場所

 農業から工業まで多様な産業が発達していることから、“アメリカの縮図”とも呼ばれる、イリノイ州。最大都市のシカゴは、ニューヨーク、ロサンゼルスに次いで全米3位の人口を誇りますが、州の真ん中に位置するスプリングフィールドが州都として、歴史や政治の中心的な役割を果たしてきました。

▲威風堂々としたイリノイ州議事堂

 その中心人物が、エイブラハム・リンカーンです。弁護士だったリンカーンは、イリノイ州下院議員となって政治家への道を歩み始め、そして第16代大統領として奴隷制度に終止符を打つことになります。激動の生涯を終えた後、リンカーンは再びスプリングフィールドに戻り、そんな歴史の英雄に会おうと訪れる多くの人たちを今も安らかに迎えています。

▲多くの人に触れられ、鼻は黄金に

▲リンカーンが過ごした家も見学可

▲博物館ではリンカーンの時代を再現

旅人と住民が出会う、ルート66

 荘厳なフレンチ・ルネサンス様式の議事堂など質実剛健な雰囲気がスプリングフィールドに漂いますが、そこに遊び心という別の魅力を与えているのがルート66の存在です。映画に出てきそうな昔ながらのモーテルやダイナーが並び、赤や黄色のサインが風景をいっそう鮮やかに彩ります。

▲ルート66の看板がお出迎え

 特に目を引くのが、仲良く2本のソーセージが並んでいる、コージードッグ・ドライブイン。トウモロコシの粉をソーセージにまとわせてカリっと油で揚げる、アメリカンドッグことコーンドッグはここで誕生しました。州の名産品であるトウモロコシを使い、串にさした状態は運転中でも食べやすく、ルート66沿いにオープンしたことから、東西を行き交う旅人たちの評判になったのです。

▲仲良くソーセージが並ぶ名物看板

▲お店はルート66の聖地のひとつ

▲香ばしい名物のアメリカンドッグ

 店内は当時の写真やサインで埋め尽くされ、お店の歴史はルート66の軌跡そのもの。開店と同時に夢中で撮影していたら、近所に住むボブさんに「どこから来たの?」と話しかけられました。そのままお互いの旅や日常の話題へ。月曜日の朝、ここで友人とコーヒーを飲まないと1週間が始まらないと話す、ボブさん。スタッフとも顔見知りで、おすすめの観光地を教えてくれただけでなく、次の取材先まで車で送ってくれました。その後も交流は続き、SNSに私が載せる旅先での写真を楽しみに待ってくれています。気さくであたたかい。多くの旅人たちを見送ってきた町の住民は、一期一会を大切にする人たちでした。

▲昔ながらの懐かしいダイナー

▲ルート66にまつわるグッズも販売

▲お店で出会ったボブさん(右)

PROFILE

浅井みら野(あさいみらの)

アメリカの大学で国際関係とジャーナリズムを学び、卒業後は日本の旅行会社で法人営業を担当。その後、旅行関連のカメライターとして、日本全国、世界各国を訪れ、まだ知られていない土地の魅力をご紹介。

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