ZOOM UP INTERVIEW

「ウルトラマン」「ゲゲゲの鬼太郎」を生んだ
ゆかりの聖地を訪れた感動を語る

片桐仁

Photo:尾崎篤志/©チャンネル銀河 ©水木プロ

いまや世界的コンテンツである昭和の名作や、作家ゆかりの地をめぐる番組『なつかしのアニメ・特撮の旅』。東京都内で「ウルトラマン」、「ゲゲゲの鬼太郎」の聖地を訪れた片桐仁がその感動を語る。

ウルトラマンの街・祖師ヶ谷大蔵で見た「怪獣倉庫」の想い出

 今日は「ウルトラマン」を作った円谷プロダクションのスタジオがあった祖師ヶ谷大蔵と、水木しげる先生が住んでいらした街ということで調布を一日かけてお散歩しました。祖師谷は「ウルトラマン商店街」という名前で本格的に町おこしをするようになって、もう20年なんだそうですね。ドラマの撮影などでこの辺りに来る機会は多いんですが、街中に楽しいものがこんなにあったなんて! と驚いています。

▲祖師ヶ谷大蔵駅前のウルトラマンシンボル像前で記念撮影

(チャンネル銀河の新番組『なつかしのアニメ・特撮の旅』は、杉田かおる、涼風真世、土田晃之といった人々が、昭和のアニメ、特撮ドラマといったカルチャーへの想いを語りながら「聖地」をめぐる旅番組だ。そして番組の第5回と第6回には、俳優で芸人、そして造形作家としての活動でも知られている片桐仁が出演。怪獣や妖怪のフィギュアのディープなコレクターでもあり、今回のテーマには並々ならぬ思い入れがあるそうだ。)

 昔、怪獣の着ぐるみや小道具が保管されていた円谷プロの「怪獣倉庫」に行ったことがありました。「ウルトラマン」や「ウルトラセブン」のようなシリーズ初期の怪獣はいなくて、もう少し後の「ウルトラマンA」や「ウルトラマンレオ」の怪獣が主だったんですが、当時撮影に使われていたものはホントにボロボロで、遊園地のアトラクション用の着ぐるみもいました。それから、あれはきっとデパートの屋上に置いてあったようなレッドマンの遊具。子どもを乗せて、30円を入れると動くやつです。「ここがそうなのか…!」という感動を今でも憶えているのですが、こうしてゆっくり歩くのはそれ以来です。怪獣倉庫も円谷プロのスタジオももうここにはありませんが、あれから街が整備されて、今でも聖地としての特別感はちゃんと残っているんですよ。ウルトラ兄弟の姿がデザインされている街灯や、怪獣のシルエットが描かれたマンホールだったり。そういったものが街にすっかり溶け込んでいるので、今回の番組を見て初めて気がつく人も多いかもしれないですね。

▲グッズも揃うくつろぎの「カフェメロディ」で、ウルトラマンのラテアートとかわいい焼印のホットケーキを堪能!

ロボット怪獣・キングジョーと夢の公式コラボレーションが実現

 ウルトラ兄弟やウルトラ怪獣については、登場作品はもちろんですが、僕はやっぱりソフビ人形やフィギュアのような立体物に対する思い入れが強いんですよ。キングジョーだけで大きさの違うフィギュアを20体持っているくらい。

(キングジョーとは『ウルトラセブン』に登場したロボット怪獣。神戸を舞台にした前後篇「ウルトラ警備隊西へ」は「ウルトラシリーズ」屈指の名作として知られている。そんなキングジョーへの偏愛ぶりを片桐が語ってくれた。)

 僕が幼稚園の年中さんくらいの頃だったかな。「ウルトラマンチョコレート」というお菓子の懸賞で、キーホルダーが当たったんです。「当選しました」と小さな段ボールが送られてきました。もちろんウルトラマンが入っていると思うじゃないですか。開けてみたら、箱の中に全然知らないロボットがいて……それがキングジョーでした。当時まだ「ウルトラセブン」を観ていなくて、キングジョーがどんな怪獣なのかまったくわからない。でも、なんかカッコいいぞ? と。大人になってからちゃんと作品を観て、さすがは「実写では世界初の分離合体ロボット」と呼ばれているだけはあると感心しました。あと、小さい目がまんまるでかわいい。

 造形の仕事で「日本各地をテーマにご当地もので作品を作ろう」と思ったとき、兵庫はやっぱりキングジョーだろうということで、みみずく土偶を合体させて「キングジョーモン」というフィギュアを作ったことがあるんですよ。ちゃんと円谷プロさんから正式にお許しをいただきましたからね。あれは奇跡でした。

(祖師ヶ谷大蔵のウルトラマン商店街で片桐が特に気になったスポットは……)

 商店街の出口に「ゾフィーアーチ」というのがあって、そこで飛んでいるゾフィーの立体像が見られるんです。ゾフィーはウルトラ兄弟の長男なのにいつもゲストで少し出てくるだけのキャラクターで飛行シーンを見たことがなかったものですから、感動しましたね。あとはカネゴンと一緒に座って写真が撮れる場所があって、これは大きな造形物だからこその良さでした。「怪獣だけど巨大じゃない」っていうサイズ感もかわいくて、つまりここにいるカネゴンは実物大ってことじゃないですか。大喜びで隣に座ったんですが、午前中だったのでお尻が冷たかったですけどね……これから行かれる方は気をつけてください(笑)。カネゴンはフィギュア映えするキャラクターですよね。「ウルトラQ」を観たことがない人でも、みんな知ってて、昔は日本全国の金田くんとか金子くんのあだ名がカネゴンでしたから。

▲祖師谷商店街でウルトラマン怪獣・カネゴンと2ショット

大人になってから気がついた『ゲゲゲの鬼太郎』の原作漫画の魅力

(祖師ヶ谷大蔵の駅から場所を移して、調布駅へ。ここは漫画家・水木しげるが戦後上京し、50年以上住み続けた街である。)

 『ゲゲゲの鬼太郎』はもちろん子どもの頃から有名なキャラクターでしたが、やっぱりアニメの放送にはリアルタイムで間に合っていなくて、大人になってから原作を読んで、そのすごさにようやく気がついたという感じですね。水木先生の貸本漫画時代の作品が太田出版から復刻されて、それもかなり読みましたし。それこそ『ガロ』に載っていたような劇画のような、ちょっとアングラっぽい雰囲気もある作品が、子どもにも大人気なメジャーな作品として何度もアニメ化されて親しまれてきた。そこがすごいですよね。内容的にも少年向けのマンガに良くあるようなわかりやすい勧善懲悪では全然ないし、作品の知名度と内容の重さのギャップがすごい。その後、僕は『ゲゲゲの女房』というドラマで貧乏神の役を演じるご縁もいただいて。あのドラマに出てくる妖怪はみんなCGなんですが、貧乏神だけは役者が演じてるんですよ(笑)。ちょうど大河ドラマの『龍馬伝』と撮影の時期が重なっていて、坂本龍馬の衣装を着た福山雅治さんと、貧乏神の格好をした僕がNHKの廊下ですれ違うという出来事もありました。

©チャンネル銀河 ©水木プロ

▲「鬼太郎茶屋」ではグッズ販売があり、お向かいには喫茶室も。漫画仕立てのお品書きに、キャラクターのメニューも凝っている

造形作家・片桐仁は、聖地のモニュメントの「ここ」を見る

 「鬼太郎」はマンガやアニメですから、まず何より水木先生の絵の力がありますよね。キャラクターをどう立体化して、銅像や公園の遊具にしているのかな? というところが特に気になりましたね。原作の絵に忠実な姿をしていたり、アニメのキャラデザインにアレンジされたものだったり、同じ鬼太郎でも全然違う像が街にいくつかいました。造形をやっている僕からすると、像の立体感、それから色の塗装の仕方……ついついそういう視点で見てしまいます。普通の人は気にしないかもしれませんが、細かいところまでしっかり作られていて、マニア心をくすぐられるスポットがいくつもありました。「鬼太郎ひろば」は公園のなかでぬりかべに登ったり、一反木綿に乗れるなんて大人も喜んじゃいますって。鬼太郎の家も再現度が高かったなぁ……。調布市の町おこしはふるさと納税とクラウドファンディングで集めたお金でやっているそうですね。この街だからできることをしているという意味で、本当にいいお金の使い方だと思いますよ。

©チャンネル銀河 ©水木プロ

▲キャラクター遊具が並ぶ「鬼太郎ひろば」を散策。 ぬりかべクライミング(写真)、一反もめんベンチ、鬼太郎の家などに大興奮!

 祖師谷でも調布でもカフェの方や、グッズを売っている店員さんと出会ってお話をしたんですが、作品への愛がすごい。みなさんやっぱりアニメや特撮に詳しい人たちなので、本当は細かいマニアックな話をもっと僕としたかったんじゃないかなぁ(笑)。例えば初期のウルトラマンのマスクは微妙に顔立ちが違うAタイプからCタイプまで種類があるんですが、詳しい方ならご存知なことをしっかり押さえていらっしゃる。番組の収録じゃなかったら絶対もっと話し込んでました。

 今回の番組をきっかけにして実際に出かけてみて、細かいところまで楽しんでもらえたらうれしいです。近所に住んでいる地元の子どもたちが本当にうらやましい。この街の素晴らしさ、特別さを改めて感じてほしいです!

©チャンネル銀河 ©水木プロ

アニメ・特撮の聖地を著名人が巡る
『なつかしのアニメ・特撮の旅』

多くの人の心を惹きつけるアニメや特撮作品。その舞台となった場所や、作者が暮らした街などを訪れる“聖地巡礼”人気は衰え知らず。その中でも、昭和から現在までの時代の中で、懐かしい作品に思い入れがある出演者が、その地を訪れる旅番組。

【第1回】ウルトラマンシリーズの聖地(福島県須賀川市)/旅人:杉田かおる
【第2回】ベルサイユのばら 思い出の地(兵庫県宝塚市)/旅人:涼風真世
【第3回】キャプテン翼の聖地(東京都葛飾区)/旅人:土田晃之
【第4回】日本アニメ発祥の地 大泉学園(東京都練馬区)/旅人:土田晃之
【第5回】ウルトラマンシリーズの聖地(東京都世田谷区)/旅人:片桐仁
【第6回】ゲゲゲの鬼太郎の聖地(東京都調布市)/旅人:片桐仁

PROFILE

片桐仁(JIN KATAGIRI)

1973年生まれ。多摩美術大学在学中に、コントグループ「ラーメンズ」を結成。グループ活動と並行して俳優デビュー。「シャキーン!」(2008年~2022年)、「ピタゴラスイッチ」(2013年~)、「99.9 -刑事専門弁護士-」(2016年)、「あなたの番です」(2019年)、「雲霧仁左衛門」(2025年)など、子ども番組からドラマ、舞台、映画まで幅広く出演。造形作家としての顔もあり、数多くの作品を発表している。その他の現在の出演番組にTBSラジオのポッドキャスト「エレ片のポッ!」など。

なつかしのアニメ・特撮の旅

3月23日(月)~ 月~金曜 後5.30~6.00(~30日)

チャンネル銀河 歴史ドラマ・サスペンス・日本のうた

Photo:尾崎篤志 Text:真鍋新一 Hair&Make:杉野かな Styling:片岡麻弥子

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