PICK UP

日本から海外まで、知る人ぞ知る魅力的な旅先をご紹介
あなたがまだ見ぬ景色や旅行体験をお届け

【コラム】世界旅情記
『イタリア ドロミテ』

イタリア北部に広がる山地「ドロミテ」。約1.6万平方kmという広大な面積は、日本で2番目に大きい岩手県と同等の大きさです。有名な観光地には、白くまばゆいことから“ドロミテの真珠”とも呼ばれている美しいコルティナ・ダンペッツォがあります。

日本列島に迫るコース総延長

標高3,000m級の壮大な山々が連なるドロミーティことドロミテ。アルプス山脈の東側に位置し、多彩な地形を持つ山岳群はユネスコ世界遺産にも登録されています。冬になると12もの広大なスキーエリアが続々とオープンし、全エリアのコース総延長は1,200km以上とその規模はまさに世界最大級です。多くのコースが標高1,300mから2,500mという雪が解けにくい高地にあるため、雪質も申し分ありません。圧雪されたばかりの斜面は雪が締まっていて、そのスムーズな滑り心地は自分の技術が上達したのかと錯覚を覚えるほどです。

▲山の中にダイブしそうな臨場感

▲ヨーロッパはスキーヤーが多め

自然と人が織り成す絶景

スキーエリア同士のアクセスも良好で、標高3,152mのピッツ・ボエを中心とするセッラ山群の周りには東西南北に4カ所のスキーエリアが隣接し合い、これらを巡ることでぐるりと一周することもできます。このルートは、セッラを一周(ロンダ)するという意味からセッラ・ロンダと呼ばれ、時計回りと反時計回りの2パターンがあります。1周するのに約5~6時間かかる大移動ですが、スタート地点に戻ってきたときの達成感は格別です。

▲セッラ・ロンダを示す看板

▲青空の下、広大なゲレンデを一望

▲おしゃれな雪山専用フック

看板も多く設置されているので分かりやすく、何といっても常に傍にいてくれるセッラ山群の存在が心強いです。垂直にそそり立ち、名前の由来にもなっているドロマイトの無機質な岩肌からは、人を寄せ付けない圧倒的な自然の偉容が感じられます。酸素も薄くなり始める標高2,550m付近までリフトで登ってみると驚いたことに、そこには石造りの山小屋がポツンと佇んでいました。

▲リフトの先で待っていた絶景

▲雪原にぽつんと佇む、山小屋

過酷な自然の中でも凛としている姿は、まるで神話の世界を覗いているかのように幻想的で、それと同時に人間ならではの温もりが感じられました。荒涼とした景色に人の営みが加わることで深みがいっそう増し、物語が宿る絶景に昇華していました。一面が銀世界に包まれる冬が過ぎると、やがて可憐な草花が主役となる春の到来です。モノクロの大地が色鮮やかに染まり、山小屋は再び多くの登山客で賑わ
いに包まれます。一年を通じて多くの人々を魅了するドロミテは、景色の枠を超えて、季節ごとに新しい世界が広がる場所でした。

▲中世の面影が残る、雪山の町

▲広々とした展望スペース

▲ゴンドラは絶好の展望席

PROFILE

浅井みら野(あさいみらの)

アメリカの大学で国際関係とジャーナリズムを学び、卒業後は日本の旅行会社で法人営業を担当。その後、旅行関連のカメライターとして、日本全国、世界各国を訪れ、まだ知られていない土地の魅力をご紹介。

特集記事をもっと見る