ZOOM UP INTERVIEW
清水崇監督の新作ホラー映画で
単独主演を堂々と熱演!
鎮西寿々歌(FRUITS ZIPPER)
Photo:平野司
Jホラーの名作「呪怨」シリーズの清水崇監督が手がける新作ホラー映画『だぁれかさんとアソぼ?』。主演を務めた人気アイドルグループ・FRUITS ZIPPERの鎮西寿々歌が、撮影現場での思い出を語った。
アイドルになってから離れていたお芝居の現場
今回、私が演じた主人公は年齢こそ同じですけど、普段の私とは全然違うキャラクターです。この映画を観てくださる方は、やっぱりアイドルとして活動している私を知っている方がとても多いと思うので、そのイメージをどこまで捨て切れるのかな?というのが大きなテーマになりました。ホラー映画の台本って、読んでいるだけで怖くなるんですよ。「背筋が凍る」ってよく言いますけど、お尻の骨まで凍っちゃうくらい(笑)。
アイドルになってからはしばらくお芝居のお仕事から離れようと決めていたんですが、たまたま「今の自分だったらまた挑戦できるかもしれないな」と思い直していたときに今回のオファーをいただいたんです。巨匠の清水崇監督とのお仕事ということもあり、「私にできるだろうか?」と自分のなかで一瞬不安に思いつつも、「きっとこれは良いチャンスかもしれない」という気持ちが自分のなかで大きくなってきて、「ぜひやらせてください」とお返事しました。これまでお芝居のお仕事をしてきて、いろいろと悩むことも多かったのですが、今回は「久しぶりのお芝居」というより、「また一からのスタートでお芝居と向き合おう」という感覚で現場に入りました。
(ホラー映画についてはこれまでどんなイメージを持っていたのだろうか?)
私、本当に怖がりで……(笑)。映画館だと、音も大きくてすごいじゃないですか。血とか、グロいものが見られないので、ホラー映画を観たことはほとんどなかったです。清水崇監督とお仕事をさせていただくということで、過去の作品をまとめて拝見したんですが、こうして改めてホラー映画を観ると価値観というか、イメージが変わりましたね。お化け屋敷みたいに、ホラーってただ人を怖がらせるだけの映画なのかと思っていたんです。でも、非現実的な世界だからこそ、ストーリーや人間関係にリアリティが感じられたのは新しい発見でした。例えば幽霊とか、この世のものではない存在に対して感情移入をしてしまうのも、それはストーリーに厚みがあるからですし、だからホラー映画って愛されているんだなって。もちろん怖い場面も大事なんですけどね!

「いまちょっと”カワイイ”が出ちゃってたよ!」
撮影中は、精神的にも体力的にもエネルギーを使いました。やっぱりクライマックスに近い場面では体力的にも精神的にも自分を追い込まないといけないことが多くて、感情をコントロールしたり爆発させたりするような……そういうお芝居は今まで経験がなかったですね。なんだかスポーツみたいな感覚で、撮影のあとは良い意味での疲労感というか、「今日はエネルギー使ったなぁ!」という感覚がどっときて、撮影の後半はちょっと痩せました。
清水監督の現場の雰囲気って、すごくにぎやかなんですよ。私は場面によって感情の幅がすごかったので、一旦カットがかかればみんなでよくおしゃべりをするような、清水組の陽気な部分にけっこう救われていました。楽しいときと緊張感があるときの幅がすごくある現場だったからこそ、撮影に入るときにスイッチを上手く切り替えることができたのかなって思います。おかげで大事なシーンで良い感じに振り切れたなと感じます。
「”カワイイ”を捨てて」っていうのは撮影を通して監督から合言葉のように言われていました。どこのシーンか忘れてしまいましたが、監督から「あ、いまちょっと”カワイイ”が出ちゃってたよ!」ってNGが出てしまったことがあって(笑)。別に普段の生活でカワイイキャラでいるわけじゃないはずなんですけど、やっぱりお仕事のモードになると”カワイイ”が入っちゃうんでしょうね。私は本当にかわいくやろうなんてつもり、なかったんですよ(笑)。でも、アイドルになってからの4年間はずっと”カワイイ”のスイッチを入れ続けてきたので……無意識に出てしまっていたんだと思います。それをやさしく、ポジティブに指摘してくださったのもありがたかったです。そういうところが清水監督らしくて、私もすごくうれしかったです。

実際の自分の年齢よりもプラス5歳の感覚で
(物語のカギを握る人物を演じる染谷将太以外は、10代(※撮影時)の若いキャストが集まった)
メインのキャストは年齢的には私とは下の世代の子たちばかりで、それもすごく新鮮な気分でした。キャリア的には私よりも長く演技のお仕事をされていた方も、今回が初の映画出演という方も両方いらっしゃって、すごく面白いバランスだったと思います。なるべく私はみんながキャッキャしているのを一歩引いて見ていようと思っていたんですけど、待ち時間に楽屋で「人狼ゲーム」とか、「カタカナーシ」というカードゲームが流行っていて、見ているうちにだんだん輪に入りたくなって……結局しっかり参加して一緒にキャッキャしてました(笑)。
最初は「もっと主演らしくしなきゃ」と思ってはいたんです。私、今までリーダー的なことをやってこなかったですし、家では長女なんですけど、弟がしっかりしているので、年長者の役回りをのらりくらりと避けてきた人生で。みんなで一緒に楽しく遊んでいる裏で「はぁ……これでいいのかなぁ?」なんて思っていました。でも、不慣れなことを無理してやってもきっとボロが出てしまうから、現場ではなるべく自然体で。楽しいときは楽しく、やるときはやるという感じで引っ張っていくような形になっていきました。カウンセラーの役なので、生徒と先生のようにしっかりと関係に線を引いて演じなければいけない場面もありましたから、気持ち的には実際の自分の年齢よりもプラス5歳くらいの感覚でいましたね。
実際のカウンセラーの方に監修いただいて参考にさせていただいたんですが、基本的にはストレスや威圧感を与えない話し方や態度が一番大事、ということでした。相手の真正面に体を向けてお話しするんじゃなくて、少し角度をつけて話すとか、そういうことはそのままお芝居のときにも心がけていました。なるべく物腰を柔らかくして、「なんでも話してね」という姿勢で相手にやさしく寄り添って、無理をさせないように、プレッシャーをかけないように。

「私ならできる」監督が私を信じて待ってくださった
(撮影を終えての感想は?)
1か月半、ずっとこの映画の現場に入っていました。もちろんその期間はグループとしての活動もしながらではあったんですが、起きている時間はずっとどこかで映画のことを考えていて、まさに人生をかけてやっているんだと思える日々でしたね。スケジュールの関係でラストシーンを最終日に撮ることになったというのもあって、最後まで現場のみなさんと一緒にひとつの作品をやり切れたうれしさと、名残惜しさでいっぱいでした。「あぁ、今月はずっと撮影してたんだな……」って、忘れられない経験ができました。
現場で印象的だったことはたくさんありますが、あるシーンで少しお芝居が難しかったところがありました。どうしても段取りのようになってしまうというか、自分ではわかっているつもりなのに、できない。お芝居の動きと感情が何度やっても上手くリンクできなかったんです。でも、監督がお互いに納得がいくまで私を信じて待ってくださって、どうにかやり切ることができました。そのときのことを思い出すと、今でもちょっとウルっときてしまいます。監督は、自分のイメージするお芝居が私から出てくるまで、何度もテイクを重ねてくださった。それは、「私ならそれができる」と思ってくださっていたからで、本当に恵まれた現場でした。このチームで作った作品を、これからたくさんの人に観ていただけることがうれしいです。
私もこの前、やっと完成した作品を拝見したんです。自分では想像しきれていなかった部分までが形になっていて、感動しました。すごく怖い映画なんですが、気がついたら涙していたり、声に出して笑っていたり、本当にいろんな感情を揺さぶられるシーンがたくさんありました。みなさんがこの映画を観たときに、どんな感想を持って帰ってくださるのか。それが本当に楽しみで、けっこうハラハラドキドキもしているんですけど、早くみなさんの感想が聞きたくてワクワクしています。この映画とのコラボソングになった新曲「センセーション」もぜひ聴いてください! 私たちにとって新境地と言える楽曲で、ファンの方々もすごく期待をしてくださっているので、その期待を超えるものになればと思っています。

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PROFILE
鎮西寿々歌(Suzuka Chinzei)
1998年生まれ。NHK『天才てれびくんMAX/大!天才てれびくん』など、子役として活動後、『ニャンちゅう!宇宙!放送チュー!』で12代目おねえさんを務めた。2022年からはアイドルグループ・FRUITS ZIPPERに参加。7月にはニューシングル『ぱわーオブらぶ / センセーション』をリリースした。雑誌『ViVi』の専属モデルとしても活躍中。
映画『だぁれかさんとアソぼ?』
7月24日(金)全国公開中
ただの「遊び」のはずだった。最初の一人が死ぬまでは――。 若者の間で密かに流行る、絶対にやってはいけない「遊び」があった。それは“学校の、誰もいない階段。その13段目―。カセットテープに日付と名前を吹き込むと、名前を吹き込まれた人は死ぬ。”というもの。軽い気持ちで実行した学生達の日常は歪み始め、やがて校内で“とある事件”が発生する…。
監督:清水崇/原案・脚本:角田ルミ 清水崇
【出】鎮西寿々歌(FRUITS ZIPPER)、星乃あんな、大西利空、向井怜衣、小國舞羽、室はんな、マキタスポーツ(友情出演)/オクイシュージ、菜 葉 菜、染谷隼生/穂紫朋子、染谷将太(ほか)
映画『だぁれかさんとアソぼ?』の予告編をチェック!
Photo:平野司、Text:真鍋新一